ミックスボイスについて
ミックスボイスの正体って地声なの?裏声なの?
地声と同じ部分、裏声と同じ部分があります。地声と裏声が混ざった発声というのが一番正しいでしょうか。感覚的には両方が混じった第三の発声と言うべきですね。地声に聴こえる裏声という表現も当てはまると思います。『裏声は裏声にしか聴こえないものだ』と思う人も多いでしょう。
しかし実際には違います。地声に聴こえる裏声があるのです。実は地声だと思っていた憧れのアーティストの高音はほぼ全てミックスボイスなのです。男性でA4から上を、女性でD5から上という裏声でなければ出せない音域を地声の音色でで自在に操れる人は皆ミックスボイスを使える人だと言っても差し支えないでしょう。ただし生まれつき出せる人は自覚が無いことが多いですが・・。ではミックスボイスは具体的にどういう状態で発声するのが良いのか?そこが気になりますよね。文章に書くと何やら難しそうに見えるかもしれませんが一言で言うと
- ①『声帯の振動は裏声、ただし声帯はしっかり閉じていること』
- ②『裏声でも喉、口の中の空間の形は地声で声を出した時のままの形』
- ③『鼻が豊かに鳴っていること(鼻腔共鳴)』
①ですが、裏声発声時に声帯が半開きになってしまう人は声帯の隙間から息が漏れてしまい薄い声になってしまいます。
②ですが、ミックスボイスにならない人は皆、裏声になると喉の中の空間の形が意思とは関係無く自動的に変化してしまいます。
③ですが、①②のことだけでは声量不足になりますので鼻の共鳴(鼻腔共鳴)をしっかり鳴らす必要があります。
これまでのレッスン経験から言うと私達日本人は欧米人のように強い共鳴を最初から保有しておらず、共鳴を得るためのトレーニングが必要になってきます。鼻腔共鳴が少ないのなら増やせば良い。幸いなことに鼻腔共鳴はトレーニングで増やすことができます。ただし、鼻腔共鳴が弱い人でも①と②が上手にできる人ならミックスボイスはできます。
ですがその場合、高音が地声に聴こえたとして小さな地声で歌っているように聴こえます。そうなると、どうしても声量を補おうとして喉に力を込めますから長時間高音を歌い続けると喉が疲れるという状態になるんですね。鼻腔が鳴れば声量が豊かになり音色も地声らしさが増します。やはり共鳴は豊かであるに越したことはありません。そして最後に、ミックスボイスに限ったことではありませんが喉仏が動かないように安定させ、無駄な息の量を押さえることで喉を楽にします。詳しく知りたい人はブログ記事『喉の脱力』を参照ください。